2015.04.14

朝早くに目が覚めて微かな雨音のリズムに合わせて頭がいたい。
風邪で朝からの雨、憂鬱には充分すぎる条件で、くしゃみをする直前のような、泣きたい気持ちで顔がむずむずするような感じでひたすら布団にくるまって午前中のほとんどを過ごした。

さすがに滅入ってきたので、ちょっと出かけてメガネを受け取りに出かけることにした。
往復2時間の道のりはちょっとしんどいけれど、家で塞いでいるよりはましだろうと思った。

お腹が空いたので11時半くらい、はやめのお昼ご飯を食べる。
相鉄線出口のほどちかくの洋食屋さんのハンバーグ。
風邪気味のくせに食欲は普段より具体的で旺盛だ。
今朝からデミグラスソースのかかったハンバーグが無性に食べたかったのだ。

東横線の改札に向かう途中、西口ジョイナスのポンパドゥルが今月からエッグタルトを始めていることを知り、つい買ってしまう。
ちびのころ、実家の最寄駅の一角にちんまりと構えていたパン屋さんのエッグタルトはほんとうに美味しくて、しっかりと物心のつく頃にはそのパン屋さんはとっくになくなってしまったのだけれど、もうじき24になるいまでもいまでもあの味を追い求めている。とにかく見つけてしまうと買わずにはいられない。
サイズといい、形といい、あのエッグタルトに似ているようで、正直子供の頃の記憶というのは、子供の目で見ている世界の記録であって、多くのものごとを外部に出力するすべをまだもたないそのころの「印象」を、あまりに伝達の道具を持ちすぎてしまった大人が正確に思い返すことは不可能に近いだろう。味覚だって、きっと変わってしまった。あそこにあったパン屋さんの名前をもし覚えていたら、検索にかけることもできる。あまりにあいまいな「印象」を補完することもできる。けれども、僕はブランドを食べているわけではない。

清澄白河の眼鏡屋さんであたらしいメガネとご対面。
看板犬らしい柴犬はやけに人懐こくしばらくじゃれてあそんだ。
ながらく伊達のままにしていて、形もがたがただった、『シングルマン』のコリン・ファースとお揃いのメガネも、整形と度入れをお願いして、本格的に道楽としてメガネを始めてしまいそうな予感。店のオヤジさん曰く「時計よりかは金がかからないからいいもんだよ」

さすがに体調がしんどいので、祖父母の家に転がりこみ、おやつと夕飯をたらふくたべながらごろごろと、TSUTAYAで借りた『スター・トレック』のリブート映画二作を一気見した。
ごろごろいい加減にみるには格好の大味さで、カンバーバッチがやっぱり最高に格好良かった。バッチとペグのためだけに観たようなものだった。

夜、祖父母に持たされすぎるくらい持たされたお土産は雨の帰路みごとに破けた袋とともにおしゃかになった。
しとしと纏わりつく小雨と、重い荷物に、もう全部うっちゃって雨に唄い、アスファルトにゴロンゴロン身を投げたい気持ちになったけれど、大人だから我慢した。

ふりかえると悪くない1日だった。

けれども荷物と雨にはいらおらさせられる。

すこし不機嫌なままこれを書き終える。
ふんだ。