2020.10.20(1-p.325)

家で仕事する快適さになれると不合理極まりない出社のストレスが増大するので、どうせたまにしか外でないのだからとランチに金を惜しまなくなった。ここ半月出社がかさんでいるので、結局はほぼ毎日贅沢していることになる。けれどもここで贅沢という言葉になにか後ろめたさや非難がましさを感じたとすればそれはいけない。人間はもっと贅沢であるべきだというか、個人のささやかな贅沢すら抑圧れるような価値観には中指を立て続ける必要がある。必要という言葉をだいぶ警戒する僕でも、贅沢に関しては必要を表明する意味を感じるというか、贅沢はいま撤退戦にある。
 
ファイアパンチ』を夢中で読み終える。子供のころにブラウン管にくぎ付けになりながら学んだ映画の倫理がそのまま漫画に持ち込まれていて、僕は読みながらものすごく嬉しくなった。『MAD MAX』や『パルプ・フィクション』へのオマージュに、マーベルやルーカスへの熱狂に、いちいちニコニコしながら、『銀河の死なない子供たちへ』や『童夢』などの漫画も思い出していて、登場人物のだれにも共感の余地のない作品はいいなあ! と凶暴なまでの面白さに楽しくなっていた。手掛かりになる共感もなければ、何を読んでいるのかすらわからなくなるような眩暈。そういう作品がとても好き。外連味の利かせ方も含めてラテンアメリカ文学を想起する。
 
なんだかぐっしょり疲れていて、食後すぐに眠る。奥さんとのおしゃべりもうとうとしていてほとんどできていない。夜は眠りが浅くて何度か目が覚めてしまったので、寝ておいてよかった。