2020.11.19(1-p.365)

精神の交互浴のような一日。

賃労働の現場で交歓の瞬間があったと思えば、その人とのあいだで業務上しんどい交渉が必要だったり。生活のほうも、みんな大変だ。そんななか、ずっと丁寧に準備してきた『プルーストを読む生活』の一般流通版の告知も始まった。夕方くらいからですね、と松井さんと相談していたのだけど、友田さんがさっそく昼ごろに気がついて、早い! と思って見に行くと版元ドットコムのリンクを悪漢と密偵さんがツイートしてくれていた。悪漢と密偵さんが何者なのかは知らないが、すごい速さで新刊情報を教えてくれる人、という印象だった。自分たちの本が、すごい速さで紹介されることになるとは。

 

賃労働はそこそこに気張る。

 

夕方ごろ、気持ちを新たにH.A.B の告知を追う。僕も2時間ほど間隔を空けてからツイートする。

本日記は『失われた時を求めて』を読んでいる、というだけで、それはなにか解説書の類でも、読書記録の類でもありません。むしろプルースト以外の本を大量に読み、仕事に疲弊し、悩み、気を紛らわせ、本が読めないと嘆き、そしてまた本を読む。そうした、普通の日々を、毎日の日付とともに読了ページ数が表示される『失われた時を求めて』に寄り添われるようにしながら書き続けられた、ただただ読書は楽しいなぁと、そんな気持ちになる約一年間の日記です。 https://note.com/habnoweb/n/nb7a5459b9ed6

この紹介文がしみじみ嬉しくて、いままさに「仕事に疲弊し、悩み」しているからこそ染みて、嬉しいなあ、と思う。

今回は僕は加筆部分はちょこっとだし、お手伝いできたのは校正くらいで、ほとんどのことは松井さんや、中村さんや、平本さんや、西さんの仕事によってできた本、という感じがしている。もちろん、僕が書いたものがあってこそだというのは分かっているし、安易な謙遜がしたいわけじゃない。僕が日々書くのは「活動」みたいなものに近くて、それに形を与えるのは「仕事」なのだ、みたいなことをたぶん思っている。モノをつくる人たちはすごい。僕が、とかじゃなく、松井さんや中村さんや平本さんや西さんの仕事が報われるように、めちゃくちゃに売れて欲しい、そのためならできることなるべくやりきるぞ、という気持ちになっている。自分一人で作ったZINE を納品するときに30mm 以内に納めることの重みは思い知っている。送料が全然違うのだ。それを15mm も上回る本を、そのほかにも贅沢な仕様で、だいぶコストのかかる本を、作っていただいた。そうであるならば、この仕事に携わったすべての人に、ちゃんと利益という形でも報われて欲しい。そう思う。

長くずっと売っていくためにつくった、松井さんはそうおっしゃってくださった。めちゃくちゃに嬉しい。だからこそ、慌てるくらいの速さでたくさん売れてくれたらいいなあ、とツイートの告知欄を二分おきに見に行ってしまう。

 

夕食前、母に電話する。楽しみだねえ、と話す。「プルーストを読む生活」というワードが含むツイートがあるとIFTTT で家のSlack に通知がいくようになっているので、さっきからすごい賑やか。奥さんは「うちの人がISBNコード付きになるぞー」と嬉しそうだ。それなら僕も嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。