2020.11.22(1-p.365)

朝はどんどん調子が悪くなるHUAWEI にとうとう愛想を尽かした奥さんがiPhone を買うというので秋葉原のヨドバシの開店するころを目指して家を出た。そのまま近くのカフェでモーニングをいただくが、パンがうまく喉を通らない。僕は一年ぶりの文フリをとても楽しみにしていたのだな、と思う。最近は賃労働も忙しく、この日をひとつの区切りのように思ってやってきたところもあり、やはりお祭りがあるといいうのはいいことだと思った。

それでのんびりと会場に向かい、ぶじ荷物は届いていて、せかせかと設営をする。会場のアナウンスで既に泣きそうだった。運営の方々の苦労を思ってというわけではない。苦労は特にいいものでも褒められたものでもない。ただ、よかったねえ、という気持ちでいっぱいになった。開場してすぐに松井さんも来てくださって、トートバッグとスウェットを受け取る。めちゃくちゃ可愛い。最高。これは最高のやつだ。さっそく奥さんと二人で着て、松井さんも着てきていたので、世界で三人がこの素晴らしいスウェットを着ている。XL がさっそく売れていき、所持者は世界で四人になった。西さんもTwitterで「可愛い」と反応されていて、描いたご本人も気に入っているというのは嬉しいことだった。『ZINE アカミミ』の売れ行きも好調で、『プルーストを読む生活』の束見本の反応もすごくよかった。まだ買えないのか、とがっかりされる方も多くて、そうだよね、紛らわしいよね、即売会なのにね、と思う。トートは予想外の動きを見せて、これは即完売だろ、という白のトートがひとつも動かなかった。陳列の仕方に問題があったろうか、悔しいというか、可愛いトートに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。お披露目してからいい反応をTwitter では貰ってはいたので、WEBショップで買えるものを即売会ではわざわざ買わない、ということかもしれなかった。しかし、悔しい。くそー、と思う。こうして自分の大したことのなさを思い知れるから即売会はいい。いろんな人にも会えて嬉しい。一年前よりもずっと知り合いが増えた。こういうのも楽しい。ご飯がないのは寂しいが、今年は仕方がない。閉場のアナウンスでも瞳を潤ませていた。そうしたら店じまいに出遅れて、もたもたとした。

終わるとくたくたで、会場前で秋葉原で買っておいたパンをほおばって、モノレールのピークが終わるのを待った。まっすぐ帰宅して、そのままの勢いで奥さんは荷ほどきを始め、僕はお寿司の出前をとった。ささやかな打ち上げ。熱いお茶を淹れて乾杯した。桶をつつきながら、出前というのはすごい、わざわざ家まで届けてくれるなんてすごい発想だ、などとお寿司を称え合いながら、お互いの健闘も称えた。それでそのままぐったりと布団に倒れ込んだ。