2019.12.28

三年だか四年前まで、横浜のシェアハウスで一緒に暮らした人たちとの忘年会があった。そのうちの一人が反町のあたりに開いたお店に集まることになっていて、いまの家からこの方面はずいぶん遠いから、昼に大船に寄ることにしていた。ポルべニールブックストアはやはりとても気持ちのいいお店で、じぶんも気持ちよく勤勉に暮らそう、と誠実さのおすそ分けをもらうような本棚だと感じる。真鶴出版の本と、三田産業の渡辺一夫、『LOCKET』の二号に酒井隆史の『自由論』を買う。

年末だからか賑わう駅前を歩くよりも、少し外れた住宅と商店とのあわいのようなエリアを歩くのが好きだった。そうして見つけた喫茶店でお昼を食べて、さっそく真鶴出版を読み出す。これは、またいい本のようだ。

 

横浜駅で待ち合わせをして、いいかげんに買い出しをしながら坂の上の友達のお店を目指した。なかなかエッジの効いたコンセプトのお店で、相変わらずの突き抜け具合と細部の雑さとが同居したあまりにその人らしい空間で、みんなで笑った、苦笑と頼もしさが混じったような笑い。一人が持ってきた孔子の出生地の白酒は、現地では歓迎のしるしらしく「welcome to my home」と書かれていた。度数が四十度で、口に含むとカアと熱く、牛が食べるブロック状の干し草、あるいはドブ川の鯉の匂いがした。

 

すっかり酔っ払って、帰りの長い電車ではルシア・ベルリンを読んでいた。「ソー・ロング」が圧倒的で、『デッドライン』の断片と飛躍を思い出していた。