2020.09.21(1-p.292)

やりたいことを100個書き出してみよう、と昨日なんとなく不満げな気持ちがくすぶっている二人のどちらかが言い出した。それで今日はそれをする日だった。

朝食にきのう母からいただいた栗きんとんをいただく。僕の大好きなもので、昨晩から明朝は栗きんとんだと家庭内の各所に連絡し、はりきって寝起きにもかかわらずよく喋った。能書きを延々と喋りながら、栗きんとんを食べる。いつか恵那に行きたいねえ、と話す。みなその美味しさに感激し、栗を称えた。 次はしょっぱいものも、と羽田市場から取り寄せた沖漬けで白いご飯を食べたらこの時点ですでに最高の一日になってしまった。同居人が卵焼きも作ってくれて、ついつい日本酒を軽く飲むことになった。

午後は近所に春ごろできたというカフェに出かけて行った。とても感じのいいカフェで、なによりコーヒーがおいしかった。通う。そこで使われていた、コーヒードリッパーが格好良くて、どうやらお湯を溜めておいて、後から一気に出すみたいなやつで「コーヒードリッパー 溜める ボタン」でググったら出てきた。浸漬式というらしく、しんししきと読む。ハリオのやつだった。誰でもおししく淹れられるとあった。ポチった。

奥さんは朝の緑茶と昼のコーヒーですっかり血圧が下がってしまったらしく、あわててファミレスに入ってスープを飲んだ。僕はポテトを食べた。それでそのままテーブルにA4の紙を広げてやりたいことを書き出していった。35個くらいのところで一度止まり、それから先も二人はほとんど同じペースで書き出していった。それが済むと店を出て、銭湯に向かった。久しぶりの広いお風呂だった。わりあい芋洗い状態で、衛生施設とはいえ密度は密度だった。ぬるめの炭酸泉にだらだら入って、満足して出て食堂でビールを飲みながら奥さんを待つ。すぐ来る。さきほどの欲望リストを点検しながら修正を加えていく。なんだかんだ、やりたいことってお互いけっこう宣言していて意外性のあるものはあんまないね、と僕は言う。あなたの場合思いついたらすぐやっちゃうからね、と奥さんは言い、それはきのう母にも言われた。

歩いて目星をつけたお店に夕食に向かう道中、きょうはひさしぶりに二人ともいい人間だね、やっぱり余裕があって体調が整ってるとふつうにいい人間だね、性ごきげん説だねと語らい、二人は満足だった。欲望の足し算よりも、困りごとや不安の引き算のほうが、僕たちはごきげんになれる。

おいしいカレーを食べて、満腹で、帰りは歩いたが満足感で眠たかった。 水を飲んで仕切り直し、寝る前は青木さんたちを招いて録音。オムラヂとポイエティークの対話は非常に楽しいもので、すっかり深い時間までおしゃべりをした。またやりたいな。