2020.09.10(1-p.255)

日記読みたい、と奥さんが言った。それで書き出した。奥さんは、すごおい読みたいと言ったそばから書いてくれてるアンデルセンとは大違い! と僕をおだてる。煽てる、ってこんな字なんだ。あおられるのとおだてられるのとは同じことだということか。煽り煽てられ。

 

奥さんは奥さんという呼称についてポッドキャストで語っていたらだんだん奥さんという呼称に違和を覚えてきたとのことで、それじゃあ別の呼び方を考えるかと提案するも、そういう名付けみたいなのが二人のもっとも苦手とするところだった。それに奥さんの奥さんという呼称に対する違和は、その言葉にまつわる社会的などうのとかではなく単なるゲシュタルト崩壊だということで確かに今こうして書いていてもだんだん奥さんという文字列が意味をなす文字列に見えなくなってきた。奥さん、この形は一体なんだ……?

 

FGO はとうとう二部に突入した。ここの演出ダサいよね、二部は辛気臭いでしょーと奥さんが横からやいのやいの言ってくるがこちらは急展開についていくのに必死だ。これがあれか、グッピーが死ぬというやつか。いやしかしこれまでだって大体厳しい状況に前置きなしで追い込まれてきたし、そう簡単にカルデアは屈しない!

 

今日は奥さんがオムラヂを聴いて、青木さんはめっちゃハキハキ喋る人なんだね、と言った。僕もふだんの録音の時よりも可愛子ぶってるとのことで、これが平気で学校に行ける人たちの仕草……、とまた皆勤賞を引き合いに出してくる。

 

それから二人で社会というものを内面化しているその具合の個体差について喋っていたけれど、こういう時いつも僕は社会代表みたいになって半径2メートルで生きてる奥さんに説教してるみたいな鬱陶しい状況がかんたんに出来上がってしまって、ふたりでしょんぼりしてしまった。

 

それでしばらく黙ってお互いの労働に励んだ。やや落ち着いたころ、日記読みたい、と奥さんが言った。それで書き出し、書き終えた。