2020.02.19

カディブックスは、

簡素に、身軽に、ゆるやかに、

力を使わず、お金を使わず、

常に変わり続けることを方針にする

小さな出版社です。


昨晩『本屋、はじめました』を読み終え、いい本だった。『これからの本屋読本』が書店開業の実践の具体的な手引きであるならば、こちらはもっと広く、本に関わる者=本屋としての矜持の話や、身一つで何か業を起こすことの地味な大変さがてらいなく書かれていた。好きなお店の損益計算書を見るの楽しい。開業にまつわるお金の話はめちゃくちゃ前のめりに見てしまう。やっぱり「家」のことを考える。ZINE を作って、いまはやや満足してしまっているところがあるが、ずっと頭の片隅で考え続けてはいる。いい風が来たら乗れるようではいたい。次は『小さな泊まれる出版社』かとも思われたが、僕がやりたいのは書店や出版社の開業ではない、ひろく本に関わる者という広義の本屋にはなってみたい気もするけれど、とにかくそういうことではない、と思われTitle で買った本を読もうと『馬語手帖』が選ばれ、行きの電車で読むと風が吹き抜けるような爽やかな気持ちになった。

引用したステートメントがとても好みで、ホームページを見に行くと、そこにある言葉もまたのびやかだ。

 

カディブックスは、

できるだけちいさく、

柔らかく続けていきたいと思っています。


たとえば、本は、

オンデマンド印刷という方法で作っています。

一度に印刷する数は100冊ぐらい。

なくなってきたら、また100冊作ります。

それがなくなったら、また100冊。


この方法のよいところはたくさんあります。


一度にたくさんのお金を必要としません。

在庫も少ないので、

置き場所にもそんなに困りません。


もしなにかを変えたくなったら、

次の版から変えることもできます。

かなり自由な感じです。


無理がかからないので、

細く、ながーく、

続けていくことができます。

100人の読者に – kadibooks


いい。より無理がなく、「かなり自由」な方法を模索すること。それが僕の基本方針でもあり、支持したい態度でもあった。ちょうど僕の日記本も100冊単位で印刷しているのもよさを感じた理由だろう。kadi books はすぐに200~400冊の単位に落ち着いたようだけれど。僕はほんとうに100冊ずつという単位がちょうどよく感じている。


それで、道半ばで読み終えてしまうのは分かっていたので、本棚で隣り合わせにあった『まともがゆれる 常識をやめる「スウィング」の実験』をはじめる。簡素に、身軽に、ゆるやかに、力を使わず、お金を使わず、常に変わり続けること。それはスウィングの態度のようでもあり、いい流れだった。去年の浅草のブックマーケットで、橋本さんにおすすめいただき、カバーをかけてもらった一冊で、『本屋、はじめました』の気分から、手渡してくれた人の顔が見える本が読みたいということでの一冊だったが、はしっこの馬とも響き合ってくれて楽しい。スウィングの詩人たちの詩がいちいち全部いい。

 

あさはきらいです

ひるはあついです

よるはにがてです


あさひるよる/かなえ/2014

木ノ戸昌幸『まともがゆれる 常識をやめる「スウィング」の実験』(朝日出版社) p.44


そういえば奥さんがやっているゲームの影響で最近は「春はあげぽよ」と呟いていて、冬は、と訊くとまだ公開されてない、明日まで待って、と言われたその翌日に「冬はつらたん」だったよ、と教えてくれた。わかる。