2020.01.25

奥さんと電車に乗って上野で野菜食べ放題に行く。お腹がいっぱいで、でも野菜だとそんなに眠くならなくてよかった。それで奥さんは散髪に、僕は読書会に出かけた。

ボラーニョ『2666』を囲んでお話する会。

読書会というのは、会話のある読書会はということだが、僕は初めてのことで、おそらく秒速三冊とか本を読む猛者たちがマウントを取り合い、自身の知識と自意識を競い合うような催しなのだろうとかなりビクビクしていた。けれども感じの良い人たちばかりで、ボラーニョはただ楽しく読むしかない、みたいなスタンスがわりあい共有された雰囲気であそこは楽しい、ここはどうだった、などとお喋りができてああ、楽しいな、と思った。なんというか本の話は僕は奥さんに面白かったところを読み聞かせたり再現したり日記に書いたりしてだいたい満足なのだけど、こうして同じ本を読んだ人たちとその本についてただ話すというのはいい遊びだった。主語が読まれた本にあるから、自身の知識と自意識を競い合うような感じにはならなくてあくまでその本の読みに寄与する形で回収されていくのも安心できるところだった。これは確かに楽しい。

 

二次会のメキシコ料理がたいへん美味しく、さいきんこういう楽しい飲み会みたいなのご無沙汰だったのでお酒がすいすい進んだ。それでまた楽しくなった。初対面の人しかいないような場で、気張らずにいられるというか疎外感や焦りを感じないで済むのは珍しく、これもたぶん主語を自分に置かないでいいから楽だったのかもしれない。自分のことじゃなくて、自分の好きなことがあればそれでじゅうぶん居られる場所というのは本当にありがたいな、と思う。また行きたいなあ。

 

ビールを何本か飲んで、ワインも美味しくて、メスカルの虫ありおよび虫なし、サンタ・テレサという名前のラムも試して、その場では大丈夫だったはずだが一人になったあたりから記憶が怪しい。今朝聞いた話では帰ってきた途端にすてきに散髪してもらった奥さんの前に跪いてとびきり綺麗! かわいい! かっこいい! すてき! と賞賛の言葉を贈っていたらしい。そうした賛辞は今朝あらためて素面でやり直した。

 

いろいろと読みたくなる本を教えてもらった。翌朝メモには

 

西脇文三

エンリケビラマタス バートルビー 

 

とあった。惜しい。