2020.09.05(1-p.237)

奥さんが先に見ていて、好きだと思うとなかば無理やり試聴を開始させられた『響け!ユーフォニアム』は、六話まで一気に見てようやくよさがわかってきた。主人公のやな奴っぷりがすごくよくて、自分よりも巧くない人たちに対する無関心っぷりがすごくいい。性格の良さなんてどうでもよくて、ただ結果だけを追求していくような話はとても好きだし、それはたぶん実生活においては結果とかどうでも良くてただいまを楽しく暮らしているからこその好ましさで、要はフィクションだからこそ楽しいのだった。主人公の声の演技が巧すぎて、ひとりだけ情報量がぜんぜん違うのに浮いてはいなくてすごい。

夕飯は外に行こうとだけ決めていて、エビが食べたかったので専門店に行こうと調べてみるとしばらく休業ということで白紙に戻り、漫然とエビの食べたさだけで選んだ適当な海鮮系の居酒屋がわりあい悪くなくてよかった。適正な期待値に対してちょうどよく応えてもらえた感じがあって、そこそこの満足でお店を後にした。向いの書店でユリイカを探したけれどもなく、なかったね、とロータリーに差し掛かると前のグループが一斉に走り出した。その直後ポツポツとこちらも振り出し、僕たちも駆けた。ロータリーの人間たちが一斉に駅の構内にむけて走り出す様は、ディスカバリーチャンネルでよくみる野生の動物たちの群れが移動するやつみたいで、面白かった。群れとしての反応。駅中の書店でユリイカが買えたので、雨が止むまで喫茶店で読む。奥さんが背中を痛めていて、ふたりで覗き込むように読むのはつらいというので、つづ井さんのインタビューを読み聞かせることになった。インタビューの読み聞かせは難しいということがわかった。