2020.04.04

金曜の夜は『パターソン』を観返していて、しみじみよかった。奥さんは木曜日を見届けて先に寝た。僕は木曜日までが特に好きだった。


起き、買い出しがてら少し散歩。日差しが白く刺すようで、目がしょぼしょぼした。日焼けしたかもしれない。サングラスを持って出ればよかった。


いつも混んでいてあまり居心地がよくなかったお店がテイクアウトをやっていて、煮込み料理やもろもろをいくつかお願いする。出来上がりを待つ間カウンターでレモンサワーをいただくと楽しくなってきてつまみも追加する。おいしくて、店員さんも気持ちよい接客で、いい店だった。混んでいなければこんなに気持ちよく、おいしいのか、と発見した。すこしくたびれていたが、てきめんに元気になって、やっぱりおいしいものを食べるのは大事、と言い合う。


帰宅してテイクアウトした料理を食べる。いつまでもあるワインも開ける。「本と本屋に関するラジオ(仮)」を聴く。編集したバージョンが改めてアップされるということだったのだけど、未編集のアーカイブも残ってしまっているようで、楽しく聴く。奥さんが何度もツッコミを入れる。


ほろ酔いで明日の仕込み。奥さんはサルサとタコミートをてきぱき作り、トルティーヤの生地を仕込んだ。僕は鶏を水からグラグラ煮てほろほろにするだけで、昨晩のMOMENT JOON のライブ配信アーカイブを見ていた。昨晩も見た。かっこうよかった。素直さや弱さをさらけ出すことの美しさを思った。それでまた見ていた。


静かな本が読みたい、と思い、トーベ・ヤンソンだな、と『軽い手荷物の旅』。イッセー尾形の「駐車場」というコントを想起させる短篇を眠そうな奥さんに読んで聞かせていると、いつのまにか眠ってしまっていて、けれども僕の手首を握った小さな手は、本読む声に呼応するようににぎにぎと強弱をつけていて、それでしばらく気がつかないで読み続けていた。