2020.10.24(1-p.325)

「気分がわるいの?」

「気分じゃないよ、アナ。悪いんだ。わたしという人間が悪いんだ。そんな気がするんだ。」

フワン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』杉山晃増田義郎訳(岩波現代新書) p.126

 

この半月はとみに余裕がなかった。そのことに気がついたのは、fuzkue のメルマガの今朝配信されたぶんのほか、先週のぶんの日記も読んでいないことに気がついたときだった。先週分のものから読み始めると、非常に具合が悪そうで、僕のこのひどいありさまと重なるようで、やっぱり天気とか、気温差とか、きつかったものねえ、と安心すると言うわけでもないが、自分のダメさは自分だけのものではないと言うか、かなり平凡でありふれたダメさであると知れた。だんだんと安定してきているようで、よかった。ラテン・アメリカ文学で久しぶりに楽しく読めた、そんな記述があって、僕も楽しく読みたい、いい加減楽しく読みたいんだと思い、読んでそうで読んでない本のひとつである『ペドロ・パラモ』を棚から引き抜いて、すがるように読み始めた。すると一気に読まれた。ラテン・アメリカ文学は読書の停滞を救う。ありがたかった。

それでいい気になって、買ったままになっていたマーク・フィシャーと樋口恭介を読み出して、いまはしかしこういうのよりも小説なのかもしれんな、とすこし思う。電車の中では庄野潤三で、こちらにも非常に助けられた。なんだかんだ、僕はやっぱり本を読んでいるのがいい。